凜凜子

歌の先生をしています。指導内容はクラシックな歌曲からポピューラーな歌までと幅広く、ボイストレーニングや合唱指導の経験も長いです。
略歴:都内の音楽高校・音楽大学声楽科卒。 専攻はドイツ歌曲。

記事一覧(7)

That's the kind of song that truly saves people.

 アメリカ映画『ウォーク・ザ・ライン』(2005年)は、カントリー・ミュージシャンのジョニー・キャッシュの伝記映画だ。この中で、エルビス・プレスリーを世に送り出したプロデューサーが、オーディションを受けに来たジョニー・キャッシュとその仲間に向かっていう台詞の中の一つが、掲題の、”That's the kind of song that truly saves people.「そういう歌こそが本当に人々を救うんだ」。では、彼が比喩的に言った、「人々を本当に救う歌」とは?「もし君がトラックに跳ねられて死にかかっている時に、1曲だけ歌う時間があるとすれば、それは君がこの世で感じたことを神様に伝える歌となるだろう。つまり、それを聴けば即座に君だということが分かる歌だ。そういう歌こそが本当に人々を救うんだ」(原語はYou Tubeを参照のこと)。 言外に「そういう歌を歌いなさい」というアドヴァイスが込められている。 この台詞を聴いて、「歌い手は寛容で誠実であるべき。聴衆に総てを捧げるのよ」という、K先生の言葉を思い出した。それは、神に捧げる歌、即ち本当の自分を出し切った歌、とも言える。その為には、発声方法においても、「総てを出すのよ。喉でチマチマと音を作るんじゃないの。お腹の底から総てを出し切るのよ」という歌い方にも通じる。 別にトラックに跳ねられなくても、人の死に方は様々であり、私達は常に死と向き合って生きている。従って、私たちに、もし自分が本当に訴えたいことがあるなら、それが何であれ、またその相手が誰であれ、その本当のものを、時を惜しまず、真摯に、伝えていかねばならないと思う。 ジョニー・キャッシュは、愛妻の死後、約4か月後の2003年9月に、ナッシュビルの病院で亡くなり、テネシー州ヘンダーソンヴィルの自宅近くにあるヘンダーソンヴィル・メモリー・ガーデンズで妻の隣に埋葬された。直接の死因は糖尿病の合併症だが、ジューンの死去による傷心が原因で病状が悪化したのではないかと語られている。出典:ジョニー・キャッシュ - Wikipedia

『さよならをもう一度』

 久々に感情移入してしまった。何しろヒロインは14歳も年下の男の子を好きになるのだから。二人の年齢がもし逆だったならば、映画としては面白くなかったにしても、もう少し客観的に観ることができたかもしれない。 この映画の撮影時、イングリッド・バーグマンの実年齢は46歳、アンソニー・パーキンスは29歳。映画の中でも二人の年齢差は39歳と25歳の設定になっているので、ほぼ同じくらいの年齢差だけれど、バーグマンの演技が上手いのか、歩く後姿がいかにも「おばさん」っぽくて、若い男の子を相手に恋愛をする歳ではないと感じさせられる。 映画を観ているうちに、私は次第にお節介な気持ちになり、フィリップ(パーキンス)を好きになったポーラ(バーグマン)に、「深い仲にならないほうが無難なのになあ」と心配したし、彼女が同じ年代のロジェ(イヴ・モンタン)とよりを戻した時には安堵した。 女性のほうが14歳も上だと、「年の差結婚」であれ「年の差恋愛」であれ、若い男の子を騙したように見られがちだ。この映画の中でも、第三者からそう噂されるシーンがある。私の心の中にも、同性に対して似たような偏見が潜んでいるのか、フィリップと自宅で一緒に暮らし始めるポーラの行為が、不自然なばかりか不道徳に見えてしまう。 映画のラストに近い一場面で。別れを決意して部屋から駆け出したフィリップを、ポーラが追いかけて行き、階段の上から、言い訳をするかのように呼びかける。「フィリップ、フィリップ!私、もう若くないの!若くないの!」。 その台詞を聴きながら、「わかるわかる、その気持ち!」、と同情にも似た共感を覚えたのでした。バーグマンが良かった!註: 1961年のフランス・アメリカの合作映画。フランソワーズ・サガン原作の小説『ブラームスはお好き』(Aimez-vous Brahms? )を映画化したもの。初公開は1961年10月。ブラームスの交響曲第3番第3楽章(ポコ・アレグレット)の甘美なメロディが様々にアレンジされている。※《ウィキペディア》より