『さよならをもう一度』

 久々に感情移入してしまった。何しろヒロインは14歳も年下の男の子を好きになるのだから。二人の年齢がもし逆だったならば、映画としては面白くなかったにしても、もう少し客観的に観ることができたかもしれない。

 この映画の撮影時、イングリッド・バーグマンの実年齢は46歳、アンソニー・パーキンスは29歳。映画の中でも二人の年齢差は39歳と25歳の設定になっているので、ほぼ同じくらいの年齢差だけれど、バーグマンの演技が上手いのか、歩く後姿がいかにも「おばさん」っぽくて、若い男の子を相手に恋愛をする歳ではないと感じさせられる。

 映画を観ているうちに、私は次第にお節介な気持ちになり、フィリップ(パーキンス)を好きになったポーラ(バーグマン)に、「深い仲にならないほうが無難なのになあ」と心配したし、彼女が同じ年代のロジェ(イヴ・モンタン)とよりを戻した時には安堵した。

 女性のほうが14歳も上だと、「年の差結婚」であれ「年の差恋愛」であれ、若い男の子を騙したように見られがちだ。この映画の中でも、第三者からそう噂されるシーンがある。私の心の中にも、同性に対して似たような偏見が潜んでいるのか、フィリップと自宅で一緒に暮らし始めるポーラの行為が、不自然なばかりか不道徳に見えてしまう。

 映画のラストに近い一場面で。別れを決意して部屋から駆け出したフィリップを、ポーラが追いかけて行き、階段の上から、言い訳をするかのように呼びかける。「フィリップ、フィリップ!私、もう若くないの!若くないの!」。

 その台詞を聴きながら、「わかるわかる、その気持ち!」、と同情にも似た共感を覚えたのでした。バーグマンが良かった!

註: 1961年のフランス・アメリカの合作映画。フランソワーズ・サガン原作の小説『ブラームスはお好き』(Aimez-vous Brahms? )を映画化したもの。初公開は1961年10月。ブラームスの交響曲第3番第3楽章(ポコ・アレグレット)の甘美なメロディが様々にアレンジされている。※《ウィキペディア》より

0コメント

  • 1000 / 1000